【現地スタッフの声】総務担当としてNGOと医療、住民の心をつなぐ

【現地スタッフの声】
「小さな対話が、大きな変化を生む」――総務担当としてNGOと医療、住民の心をつなぐ

保健ボランティア会議で説明するソペックさん(左から二人目)

ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)のカンボジア事務所で、総務担当として活躍するチュン・ソペックさん。オフィス全体のバックオフィス業務を司りながら、現場のプロジェクトチームや行政パートナーとの架け橋となっています。
経営学のバックグラウンドを持ち、かつては教育や児童福祉の現場で働いていたソペックさん。
なぜPHJを選び、どのような想いで日々課題に向き合っているのか。ソペックさんの言葉から、温かくも信念に満ちたストーリーをお届けします。

経営学から母子支援の道へ――農村の家族に寄り添いたい
私はPHJに加わる前、子ども支援施設での管理者や孤児院マネージャー、語学講師としてのキャリアを積んできました。その中で、多くの病気や経済的困難に直面しながら必死に生きる農村の家族の姿を目の当たりにし、「自分の経験や知識を活かして、地方の女性や子どもたちを直接支援したい」という強い想いを抱くようになりました。
現在、私は総務担当としてオフィス内の調整全般を担うと同時に、プロジェクトチームや行政パートナーと密に連携し、活動が円滑に推進できるようサポートしています。多様な業務を同時にこなすマルチタスクの日々ですが、優先順位をつけながら一つひとつの課題に誠実に向き合っています。

「ささやかな会話」が変えた、ある妊婦さんの未来
村の人々と接する際、私が最も大切にしているのは「相手の気持ちや声に深く耳を傾け、しっかり汲み取ること」です。
ある日、予防接種のアウトリーチ(巡回活動)である村を訪れたとき、一人の妊婦さんに出会いました。彼女は「肉や野菜を食べるとお腹の赤ちゃんが大きくなりすぎて出産が大変になる」と思い込み、極度の偏食から貧血に陥っていました。
私は彼女の不安にじっくり耳を傾け、「ぜひ一度、村に来ている助産師さんに相談してみてね」と優しく声をかけました。
それから2〜3ヶ月後、東京本部から出張に来ていた南部さんと共にドンテイ村の巡回活動を訪れた際、奇跡的な再会を果たしました。
彼女は以前よりずっと健康的な表情になっており、「明日、夫と一緒に保健センターに行くの」と嬉しそうに話してくれたのです。彼女と夫の意識が変わり、自ら行動を起こしてくれたことに、胸が熱くなりました。「ほんのささやかな会話であっても、相手の心に寄り添うことで大きな変化につながる」――そう心から実感した出来事でした。

壁を乗り越え、深まった医療従事者との絆
PHJで働く中で、地域の医療従事者(助産師や看護師)がどれほど過酷な現場で人々に奉仕しているかを痛感するようになりました。
PHJに入所したばかりの頃、クポッタゴン保健センターの所長に面会しに行ったときのことです。産後健診(PNC)ルームの建設について話し合うため伺ったのですが、私が「総務担当」だと自己紹介した瞬間、所長の顔に失望と気まずそうな色が浮かびました。現場の苦労を知る医療者にとって、「総務スタッフ」は視点が異なる存在に見えたのだと思います。
しかし、そこで諦めるのではなく、時間をかけて対話と協働を重ねていきました。現場の苦労を理解し、真摯にサポートを続ける中で、少しずつ心の壁が溶けていきました。
今では、かつて気まずい空気が流れた会議室を離れ、彼の自宅のテーブルで一緒に楽しく昼食をとるほどの深い信頼関係が生まれています。事務所移転の際には、私の様子を気遣う温かいメッセージを送ってくれたほどです。

産後ケア室の前に立つ保健センター長(右から2人目)

 

「届ける支援」と「受ける力」の両方を育むPHJの強み
多くのNGOが住民側のニーズのみにフォーカスしがちな中、PHJの支援の最もユニークな点は「供給側(医療従事者や施設)」と「需要側(住民)」の双方向を同時に支えている点です。
単に物資を与え続けるのではなく、丁寧な保健教育を通じて住民自身をエンパワーメントし、自立心を育んでいく。そして医療従事者側の体制も整えることで、地域全体で持続可能な保健システムを創り出しています。
JICAの「セーフ・デリバリー(安全なお産)アプリ」や「eラーニング」ワークショップをはじめ、チーム一丸となって活動をやり遂げたときの達成感、そして関わる人々の笑顔こそが、私の日々の原動力です。これからも総務という立場から、現場と人々をしっかり支えていきたいと思っています。

e-ラーニング用アプリの利用方法を説明
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