保健センターの運営の支援とは?

たとえばけがをしたり、病気になったりして、
病院に行くことを想像してください。

(二輪バイクで保健センターまで、という光景はよく見かける)
まず、病院にいくまでの道のりが遠い。
たどり着いた病院は、施設そのものが老朽化し、
清潔からは程遠い状況。
スタッフもぶっきらぼうに対応する。
そもそも、スタッフがいないことさえも珍しくない。

(支援地域の保健センターの内部)
そんな病院にあなたは行くでしょうか。
カンボジアの支援地域の保健センターは上のような状態が
珍しくありません。
PHJがカンボジアで実施している「保健施設機能強化」というのは、
そうした保健センターのハード・ソフト両面でサポートし、
患者さんや妊産婦さんが訪れたいと思う環境を
整えることを目的にしています。

保健センターの運営状況を確認する月一回の会議。
保健センターの衛生管理、器材管理、会議の実施などが
きちんとなされているかを確認します。
さらに保健センターに訪れる村人の声もここで反映されます。
たとえば二月のミーティングでは保健センターに行ったのに
助産師がいつもいない、という声が村人からあがってきている
ことについて話し合いました。
こうして問題を把握し、そして改善に向けて対策を考える
機会となるミーティングはとても重要です。
毎月の会議を繰り返すことで、
支援地の保健センターは大きく成長するでしょう。

年間分娩件数600件の保健センターとは?

あらためてカンボジアの保健センターについてご案内します。
保健センターは住民に最も身近な保健施設。保健センターでは予防接種や妊婦健診、分娩介助などの保健サービスを住民に提供しています。しかし、サービスを提供するための人材が不足しているため、PHJは人材教育を支援しています。
そうしたなかでも、住民に頼られる優秀な保健センターもあります。

下の写真に写っている生まれたばかりの赤ちゃんがいるのは
メサー・チュレイ保健センター。

ここの保健センターの出産件数はなんと年間600件。単純計算で1日2件弱。
他の保健センターで年間100件にも満たないのですから、地理的に有利な点があったとしても、この数字は目を見張るものがあります。

この保健センターに腕の良い助産師が大勢いるのかわかりませんが、
ここの強みをほかの保健センターにも共有することで、保健センターのレベルアップのきっかけになるかもしれません。
続いてほかの保健センターをご紹介します。たとえば下のオウ・ムルー保健センター。隣に小学校が併設されています。

今日は、若い夫婦が生後1か月くらいの赤ん坊を連れてきています。

予防接種を受けていました。これから頑張って育ててください!

カムカムクメールとの連携による教育活動

今月は地域住民への保健教育に合わせてNPOカムカムクメールという団体の口腔衛生教育を合わせて実施しました。
最初に保健教育を行い「家族計画」をテーマに家族計画の必要性や避妊の方法などを伝えました。

その後カムカムクメールにより、口腔衛生教育を実施しました。(くわしくはこちら
日本から来た歯科医師や歯科衛生士が優しく歯の健康について話し、
実際に歯ブラシを配って歯磨きの方法について指導しました。

また、カンボジア人の学生が手洗いの歌を歌って、
楽しく衛生について教育を行いました。


歌に合わせて楽しみながら歯磨きや手洗いを教わる子供たちは真剣そのもの。
教育活動をしているPHJとしても学ぶことの多い教育方法でした。

2村で保健教育を実施

地域住民の意識向上活動の一環として、2015年12月、2村で保健教育を行いました。トピックは「妊婦健診」です。参加者は全部で132人(うち15歳未満の子供が79人)でした。
村における保健衛生の意識向上のためには村人たちに正しい知識を分かりやすく伝えることが必要です。
そのため、PHJではこのほかにも「家族計画」、「安全な分娩・新生児ケア」、「母乳育児と栄養」、「下痢・衛生」、「結核」、「HIV/AIDS」、「予防接種」など身近な保健衛生を題材にした分かりやすいフリップチャートを作成し、対象となる村を巡回訪問し、フリップチャートを使用して保健衛生の正しい知識を村人に理解してもらう活動をしています。

ボランティアスタッフによる保健衛生の意識向上のための教育活動

興味深そうに話を聴いている子供たち

15村で保健教育を実施

今月も村での保健教育を実施した。今月は15村で「デング熱・マラリア」、5村で「下痢・衛生」を実施しました。子どもを含む総参加者数は877名(平均43-44名)、うち15歳以上の大人は512名(平均25-26名)でした。
また、今月はKhpop Ta Ngoun (クポップタグォン)保健センター長が、保健センター管轄の7村のうち5村での保健教育に参加してくださいました。当保健センター長の事業への姿勢は大変積極的で、他の2保健センターについても、保健センタースタッフに保健教育に参加してもうらえるよう働きかけていく予定です。

定期的に行われる村の保健教育の様子

保健教育のフィリップを使って説明する保健ボランティアスタッフと村人たち

保健センターの機能強化活動に成果

コンポンチャム州での3年事業は、10月に1年目が終了しました。1年目に展開した活動の1つ「保健施設の機能強化活動」においては、毎月保健ボランティア会議を開催し、保健センターと村との協働を目的に、村の保健ボランティアや保健センタースタッフ間で保健に関する問題を共有したり、保健センターのサービス改善のための話し合いを行いました。
また、PHJとして初めての取り組みとなる保健行政区スタッフによる保健センターに対する訪問指導を実施し、保健センターの衛生環境改善や、保健センタースタッフがきちんと白衣を着て時間通りに出勤する等、規律面においても改善が見られました。1年目はPHJスタッフが活動を主導してきましたが、2年目からは保健行政区スタッフや保健センター長が活動を主導する形を目指して行きたいと考えています。

保健ボランティア会議の様子

保健センターでの訪問指導の様子

保健行政区のモニタリング評価ワークショップを開催

保健行政区事務所にて、第1期のモニタリング評価ワークショップを開催。保健行政区から3名、3モデル保健センターから5名の計8名が参加しました。本ワークショップの目的は、これまで一年間の活動と成果を保健行政区及び保健センターに報告・共有し、第2期の活動をより良いものにするため、参加者からフィードバックをもらうことにあります。活動毎の指標や事業の進捗、成果を確認し、積極的な意見交換が行われました。特に第2期の活動について参加者の希望を聞けたことは、今後事業を進めていく上で参考になりました。また、更新したPDM(プロジェクト・デザイン・マトリックス)を共有することもできました。
本ワークショップの最後に副保健行政区長より、これまで1年間のPHJの支援に対する感謝の意を伝えられました。また、これからも関係者と協力しながら、良い事業を実施してほしいと激励いただきました。

モニタリング評価ワークショップで話し合いをリードするPHJ現地スタッフ(写真中央の立った女性)

モニタリング評価ワークショップで真剣に話に聞き入る参加者

保健ボランティア会議を開催

支援対象3か所の保健センターにて、今期最後の保健ボランティア会議を開催しました。保健センターによって毎月ばらつきはあるものの、今月の同会議への参加率はまずまずだったと言えます。保健ボランティア会議を開始して半年が経過しましたが、現地スタッフによると、保健ボランティア会議を続けてきたことで、見た目にも変化が見られるようになりました。
例えば、保健センターの衛生環境が改善され、保健センタースタッフがきちんと白衣を着て、時間通りに出勤する等、保健センターの規律が改善されてきていることがうかがわれます。
・各保健センターの会議参加者
Orm Leu(オムルー)保健センター 11名中8名  参加率73%
Areak Tnaot(アレックタノット)保健センター 7名中4名 参加率57%
Khpop Ta Ngoun(クポッタゴーン)保健センター 11名中7名  参加率64%

保健ボランティア会議での話し合いの様子

保健ボランティア会議で真剣にメモを取る参加者

助産師訪問モニタリングを実施

保健センター助産師のモニタリングを実施しました。保健行政区内の11保健センターのうち、今月は3モデル施設を含む7施設でモニタリングを実施。各保健センターを訪問し、チェックリストを使用して助産師の母子保健サービス(妊婦健診)に関するスキルを評価した結果、一番低い成果率の村で70%、高い村は87%、8保健センターの平均は79%と高く、全体的にスキルが高いことがうかがえました。
また、6月に病院実習に参加した4名の助産師全員をモニタリングし、3名が平均点以上の結果。病院実習に参加した助産師の方が、参加しなかった助産師よりも必ずしも結果が良い訳ではないという意外な結果も出ました。元々の各助産師の知識・スキルや能力の違いにもよりますが、いずれにせよ病院実習に参加してすぐに結果の出るものではないため、助産師の知識やスキル改善を目指し、引き続きモニタリングを実施していきます。

妊婦の血圧を測る保健センター助産師

妊婦に対して問診を行う保健センター助産師

実習形式の助産師トレーニングを開催

6月3日~29日の27日間に亘って、実習形式の助産師トレーニングを開催。4名の保健センター助産師がコンポンチャム州病院にてトレーニングを受けました。
本トレーニングの目的は、普通分娩を一人でも介助できるようになること、危険サインを察知し速やかに病院に搬送できるようになることでした。
助産師育成計画策定会議で合意した内容に基づいて、実習及び講義を実施。一日のスケジュールは、午前に病院で実習を行い、午後は講義を実施し、夜は交替で病院で勤務しながら実習を行いました。
参加した4助産師は皆とても意欲的に学んでおり、トレーニング開始前に実施した事前テストの結果(平均38%)に比べ、トレーニング後に実施した事後テストの結果は平均94%と大きく改善。また、全4助産師が目標としていた普通分娩介助10回をクリアしました。

助産師トレーニングで実習を行う保健センター助産師(中央)とトレーナー

お産で使用する器具の手入れを行う保健センター助産師

助産師トレーニングで講義を受ける4名の保健センター助産師


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