住民意識向上活動と助産師の能力把握

今月は住民意識向上活動と助産師能力の把握の二つを紹介します。
■住民意識向上活動
住民意識向上においてキーパーソンとなる保健ボランティアと保健センター管理委員会。
彼らの活動状況や会議の頻度について聞き取りを行いました。
その結果、どの保健センターでも保健ボランティアも保健センター管理委員会もあまり活発に活動している様子はありませんでした。
ただし、保健ボランティアについては、保健センターで定期的に会議等は実施していないものの、
村では様々な手助けをしたり、患者を保健センターに送り届けたりといった活動は実施しているようでした。
またPHJのプロジェクトや目的について保健ボランティア及び保健センター管理委員会メンバーへ説明し、理解を深めてもらうため
保健ボランティア及び保健センター管理委員会に対するプロジェクト説明会を実施しました。

■助産師技術能力の把握
助産師トレーニング計画の策定に向け、支援対象地の保健センターの助産師の助産知識やスキルを知るために、評価を行いました。
対象となる助産師数は18名(准助産師14名、フローティングスタッフ*4名)。
*フローティングスタッフとは、助産師の資格は有していないが、保健センターで出産介助を行うスタッフのこと。助産師の数が足りていないためにフローティングスタッフが存在する。

評価の方法としては、筆記試験及び実技試験を実施しました。
筆記試験については、出産や産後健診に関して。
実技試験については、妊婦健診及び家族計画に関して、助産師が患者に対して診察を行っている様子を観察し、チェックリストを使用して知識やスキルの確認を行いました。

結果としては
筆記試験については、合格ラインに達した人が多かったものの、
実技試験については、合格ラインの点数を獲得した人が1人もいませんでした。
今回の試験により、助産知識については比較的高そうであるが、臨床においては知識やスキルを適切に実践できていない助産師が大多数だということがわかりました。

助産師・TBA(伝統的産婆)の話し合いを開催

PHJでは、医療知識のないTBA(伝統的産婆)の介助による出産は危険だとして、助産師の介助による出産を奨励しています。
PHJの支援開始前、助産師による介助は47%程度でしたが、現在は90%以上になりました。
このように活動の成果は表れていますが、1月の助産所・診療所での出産は56件、病院搬送件数6件、 そして1件だけTBA(伝統的産婆)の介助による出産がありました。
支援地の村では、コストが安いという理由などで 医療知識のないTBAの介助で出産する人もわずかにいます。 そこで伝統的産婆の方々にも 安全なお産への理解を深めてもらうため 助産師との話し合いの場をつくりました。

話し合いの場では、TBAがどのような仕事を担っているか。各村との助産師さんとの関係は構築できているか、といったことを中心に話をしました。

話し合いと調査の結果、ほぼどの村のTBAも一人で出産介助をすることはなく、
助産所に連れて行ったり、付き添ったり、生まれた赤ん坊を沐浴したりといったように、
お産の手伝いをしているようでした。

助産師とも関係が構築されており、仕事内容としては補佐的なものに限られているようです。
全体的には改善されているようなのですが、TBAによる出産がゼロではないので、
今後もTBAとの関係を維持しながら細かな支援が必要だと感じています。

2つの県で、142名の女性が参加。

乳房自己触診トレーニングを、ハ・ナム県、テュイ・ヌゲン県にて実施し、142名の女性が参加しました。
自己触診を実践するだけでなく、乳がんに関する知識も伝え、知識が身についているかどうかの
テストも行います。
どの地域でもトレーニング後に実施したテストでは点数が一挙にあがり、習熟度も問題がないようです。



本事業において乳房自己触診トレーニングを現在6113名の女性に実施しています。

HIV抗体検査を実施しました

2014年12月に、支援対象の高等専門学校のうち2校でHIV抗体検査を実施しました。
1校では25名(男24名、女1名)、もう1校では36名(男10名、女26名)が任意で検査を受けました。
結果は全員陰性。

タイでは20歳未満の生徒は親の許可がなければ
HIV抗体検査を受けられません。
そのため通常高等専門学校生の年齢にあたる14~19歳の生徒は
受ける機会はないのですが、
PHJは匿名で行うことで各校で検査の実施を可能にしました。

生徒たちが自ら検査を受けたということから
ピア教育を通して
問題意識を持てるようになった言えるでしょう。

家庭菜園クラスの実施

菜園活動を家庭レベルでより実用的で継続しやすいものにするために、
講師を招いてケブユタン村で家庭菜園講習を行いました。
講師のモティプ氏(写真:左)は地元でも農業講習でひっぱりだこのエキスパートとのこと。

参加者は男性15名、女性15名の計30名。
講習会は基本編と実践編に分かれた二部構成になっていました。
家庭菜園を始めるにあたって重要なポイントに絞り、素人でも野菜が育てられるように
レクチャーしてくれました。
参加者は全員熱心で、書き取りをしていました。

参加者の元農夫のルシディさんは、参加した理由を、元々海外で農業をやっていたことも
あり、再度挑戦してみたいと思ったので、とのことでした。
そんな彼は誰よりもノートに詳細にメモを取っていました。

次回は3月に実施する予定です。

ストゥントロン保健行政区能力強化支援スタート

今月は、本プロジェクトの4つの柱のうちの1つである「保健行政区能力強化」を
スタートしました。
あらためて事業目標をおさらいすると、
「保健行政区を中心に地域保健システムが機能することにより
妊産婦や乳幼児が適切な保健サービスへアクセスできる。」
そして「保健行政区能力強化」を具体的に説明すると、
保健行政区による保健センターの活動の管理・監督機能の
強化、となります。
つまり、プロジェクトの根幹にかかわる重要な活動であることが
わかります。
まずこうした活動を行うに当たり、プロジェクトの目的について
理解を深めてもらうため、関係者への説明会を行いました。

さらに、活動において必要となる設備(プロジェクターやパソコン、テーブルなど)
支援を行いました。

その後3日間のファシリテーション研修を保健行政区スタッフや、保健センタースタッフ、
またPHJ現地スタッフが受けました。演習や討論が多く盛り込まれ、充実した研修だったとのことです。


さらに計画立案研修も3日間行われました。
この研修は、今後3年間のプロジェクト計画について、PHJスタッフだけでなく保健行政区スタッフなどとともに考えることで
より現状に即したプロジェクト計画を立案し、ともに事業の実施・管理を行うため。
活動を進めるパートナー同士で意思統一を図る、重要な研修といえます。

以上が、今月実施した保健行政区能力強化の支援活動となります。

家庭訪問の様子

本レポートはPHJ東京事務所スタッフの真貝がタイ事務所出張時に見学した内容です。
11月にPHJタイ事務所スタッフが障がい児/慢性病疾患児支援として、以前より支援をしている男の子の家庭を訪問しました。
男の子は脳性まひを患っており、PHJタイ事務所のエー(理学療法士)がリハビリを施しました。
PHJタイ事務所のエーがリハビリを施す様子

家庭訪問の様子

(一番左が真貝)

食と健康のフェスタを開催しました

本活動レポートは東京事務所スタッフの真貝がインドネシア事務所出張時のプロジェクトを記載したものです。
12月8日にインドネシア・セラン県にて、PHJが主催した食と健康のフェスタが行われました。このフェスタはこれまで実施してきた栄養メニューコンテストのメニューや蓄積したノウハウをより多くの人に認知してもらうため、地域の住民、保健センター関係者含め約100人余りの方たちに対し、ティルタヤサ保健所の協力のもと開催されました。
フェスタではPHJインドネシア事務所スタッフのデデによって衛生教育が行われました。

また保健センター関係者によって栄養教育を行いました。

新しいメニューの試食とレシピの紹介

新しいメニューを紹介する様子

PHJインドネシア事務所のキノがレシピを配る様子

保健センターの様子

今回は支援対象地内の保健センターの様子を写真でお伝えします。
保健センターは村人に最も身近な公的な保健施設。
ご覧のとおり施設や設備がかなり老朽化し、
不足しているものも多く、改善が必要なことが伺えます。


保健センターの産後ケア室

給水塔
PHJの主な活動は人材教育ですが、保健センターの設備が十分でない場合は
ハード面に関しても支援しながらサポートします。

スヌーズレンセラピーを体験しました

RICDセンターで実施している定例ミーティングで今回初めて「スヌーズレンセラピー」
を行いました。
本活動で支援している子供たちの多くが脳性まひなどの重い障害を抱えており、少しでも
効果的なセラピーを施すために実施しました。

そもそも「スヌーズレン」とは、重い知的障害をもつ人々のために考えられた活動と理念です。
重い障害を持つ人は、感覚に直接訴える刺激を通して、楽しむ、という見解から、聴覚、視覚、
触覚といったすべての五感を刺激する素材を組み合わせた空間が作られました。
この空間を通して障がいを持つ人だけでなくご家族などの介助者がリラックスして過ごすこと
を目指しています。
RICDのスヌーズレンルームには、さまざまな感覚を刺激するアイテムが置かれています。
子供たちが自分で好きなものを選んで、楽しむことで、日ごろのプレッシャーから解放され
欲求不満を解消できるようです。

これも感覚を刺激するアイテム。楽しそうです。

この日、子供たちはスヌーズレンルームで思い思いに楽しんだそうです。
この楽しさを基盤に、心身の緊張がほぐれる、穏やかになる、コミュニ
ケーションがとりやすくなる、積極的になるなどの療法的効果があるとの
ことです。


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