2026年5月31日をもちまして、藤野康之が代表を退任いたしました。
後任として、6月1日付で高田重信が新たに代表に就任いたしましたことをご報告申し上げます。
新体制のもと、スタッフ一同、より一層社会貢献に努めてまいる所存です。
今後ともご支援応援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿者: phj
シェムリアップ州における3年間の歩みと変化―安心・安全なお産を支える仕組みづくり―
安心して妊娠・出産ができる環境づくりを目的としたJICAの草の根技術協力事業「シェムリアップ州ソトニクム保健行政区における安心安全なお産のための保健システム強化支援事業」は、 2023年4月に開始し、3年間の活動を経て2026年4月3日に終了しました。

事業地であるカンボジア国・シェムリアップ州は、世界的な観光地として知られる一方で、医療へのアクセスが困難な地域もあり、不安を抱えながら出産に臨む女性もいました。雨季には道路が冠水し、保健センターにいくことが困難になる地域もあり、地域間に格差が存在していました。

こうした状況に対し、PHJは、現地の既存の仕組みを活かしながら、地域の人々自身が主体となって支え合う体制づくりを重視してきました。外部からの一時的な支援にとどまるのではなく、活動終了後も継続していくことを見据えたアプローチです。

1)助産ケアの質向上に向けた人材育成
事業地には27か所の保健センターがあり、助産師が24時間体制で地域の妊産婦を支えています。最新のガイドラインに基づく研修や、定期会議での症例検討を通じて技術面だけでなく、丁寧な説明や寄り添う姿勢といった接遇面の改善も見られるようになりました。
2)保健ボランティアの自主性
医療者と地域住民の架け橋となる保健ボランティアの育成にも取り組みました。定期的な会議や研修を通じて知識や伝え方を学び、活動の継続参加者を表彰することで、誇りと責任感を高めました。その結果、金銭的なインセンティブに頼らない自発的な活動が広がっています。

3)安心安全なお産の促進
助産師による Q&A セッションや、保健ボランティアによる家庭訪問や保健教育を継続的に実施しました。その結果、妊娠中の過ごし方や栄養に関する理解が深まり、地域の人々の意識や行動に変化が見られるようになりました。また、コロナ禍で低下していた保健センターへの信頼も徐々に回復し、妊婦健診や医療施設での出産の重要性への理解が広がっています。特に、町の中心地に近い地域では道路状況も改善されてきており、病院での出産を選択する女性が増えてきていることがわかりました。
以前は妊婦の健康を害する恐れのある伝統的な習慣が根強く残っていましたが、現在では妊娠中の過ごし方や栄養の取り方についても理解がすすんでいることが現地の人々の声として届くようになってきました。

こうした取り組みにより、医療と地域住民の関係が向上していきました。
活動の積み重ねの中で、コロナ禍で医療施設の利用が減少していた保健センターへの信頼も徐々に回復し、妊婦健診や医療施設での出産の重要性に対する理解が広がっています。このように地域の意識や行動に変化が見え始めていることは、3年間の取り組みの成果のひとつです。
【事業終了後の現地の人々】
活動終了後も取り組みが継続されるよう、仕組み・人材・地域のすべての側面から持続性の確保に重点を置いてきました。定期的な振り返りや指導、助産師会議は行政の通常業務に組み込まれており、今後も継続的に実施される体制が整っています。今後は、現地の人々の手によってこれらの取り組みが継続・発展し、より多くの母子の健康が守られていくことが期待されます。

【本事業はJICA草の根技術協力事業とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しました。】
PHJ東京事務所 4月29日から5月6日まで休業します
PHJ東京事務所は、ゴールデンウィークの休日のため、
4月29日(水・祝)から5月6日(水・祝)まで休業いたします。
その間お問い合わせなどにつきましては対応ができませんのでご了承ください。
5月7日(木)には通常の業務を再開いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
PHJ Tokyo Office closed from April 29 through May 6
Please be advised that PHJ Tokyo Office will be closed for the Japanese holiday: Golden Week, from April 29 through May 6, 2026.
During this period, we will not be able to respond to any inquiries.
We will resume our business on May 7 and appreciate your understanding.
未来の命を守る「お産準備キット」をお届けしました!
私たちが活動しているシェムリアップ州のソトニクム保健行政区では、妊婦さんが自宅で出産したり、
十分な健診を受けられないまま出産当日を迎えたりするという課題があり、
妊婦と新生児の安全な出産環境の整備を通じて、母子の命と健康を守ることを目的として活動をすすめてきました。
そんな中、2025年度は「連合・愛のカンパ」からの温かいご支援をいただき、
妊婦健診の受診率が特に低い3つの地域で「お産準備キット」を配布する活動を行いました。

●健診4回、それは「安心」へのステップ
このプロジェクトでは、母子の健康を守るために大切な「4回の妊婦健診」をすべて受けた女性へ、お祝いと応援の気持ちを込めて「お産準備キット」をプレゼントします。
ただし、このキットは永遠にプレゼントしつづけることが目的ではなく、あくまでも、今回の事業期間における「健診受診のきっかけ」をつくるための、一時的な取り組みです。
まずは一人でも多くの妊婦さんに保健センターへ足を運んでもらい、「健診で安心できた」「異常を早く見つけてもらえた」
「安全な出産につながった」といった前向きな体験を得ていただくことが目的です。
さらに、出産を終えた女性がその経験を周囲に語っていくことで、次の妊婦さんたちが自然と妊婦健診に足を運ぶ、
そんな循環をつくり出すことを目指しています。
【キットの中身】
石けん
大小のタオル
赤ちゃん用の可愛いキャップ
おくるみ
これらはすべて、現地のニーズに合わせて選んだものです。
例えば、石けんで手や体を清潔に保つことは、産後の感染症を防ぐためにとても重要です。
また、柔らかいタオルやおくるみは、生まれたばかりの赤ちゃんを温かく包み込みます。
●嬉しい変化が見えてきました
「キットをもらえるから、頑張って保健センターに行ってみようかな」
そんなきっかけ作りから始まったこの活動ですが、嬉しい成果が出ています。
対象地域の一つであるコンポンクレン保健センターでは、4回の健診をしっかり受ける妊婦さんの割合が、前年の51.8%から74.1%へと大きくアップしました!
単に物を配るだけでなく、「保健センターに行けば、助産師さんに相談できて安心」「清潔なお産ができる」という意識が地域のお母さんたちの間に広まりつつあります。

【本活動は「連合・愛のカンパ」より助成をいただき実施しました。】
参加お申込み受付中!3/5 カンボジア&ミャンマーオンライン活動報告会

【プレスリリース】命を左右する産後24時間。カンボジアの母子支援のため、目標300万円のクラウドファンディング開始!
特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパンは、世界的な援助削減による資金難のなかでカンボジアにおける母子の命を守る活動の継続を目指す。
クラウドファンディング「命を左右する産後24時間。カンボジアの母子の命を繋ぐ気づきと判断を」
特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン(理事長:神谷 洋平、以「PHJ」)は、クラウドファンディングサービス「READYFOR」にて、カンボジアの遠隔地における母子継続ケア連携強化プロジェクト実施費用を募るために「命を左右する産後24時間。カンボジアの母子の命を繋ぐ気づきと判断を」を公開しました。300万円を目標に、本日2026年2月16日(月)から3月31日(火)まで支援を募ります。 (プロジェクトURL:https://readyfor.jp/projects/2026phjc)
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■背景とPHJの取り組み
出産直後から産後数日間、特に最初の24時間は突然の大量出血によって命を落とすリスクが最も高い時期になります。カンボジアでは、1970年代の内戦とポル・ポト政権により、医療制度は一度完全に崩壊した歴史があり、母子保健は脆弱な状況です。特にPHJの事業地シェムリアップ州ソトニクム保健行政区では保健センター(医療施設)で出産しても早い段階で自宅に戻ってしまうこともあるため、産後の観察やケアが十分とはいえない現状です。

PHJは、これまで実施してきた「安心安全な妊娠・出産」に続き、今回は「安心安全な産後」を促進するプロジェクトを進めます。妊娠から出産、そして、産後の女性と生まれた赤ちゃんを、母子一体とした切れ目のない継続ケアの促進を目指していきたいと考えています。

■かつてない活動継続の危機
しかし現在、PHJの活動はかつてない危機に直面しています。2025年の米国の人道援助凍結や欧米諸国の支援削減という世界情勢の激変や、公的補助金・民間助成金への申請団体の増加の影響を受け、PHJが申請した複数のカンボジア案件が不採択となりました。カンボジア事業の予算はほとんどなく、事務所の移転やスタッフの人数を半減し、活動継続の道を必死に模索しています。たとえ、政治や情勢が変わっても、目の前にある「救えるはずの命」を見捨てることはできません。この活動を途絶えさせないため、クラウドファンディングを通じて皆様と直接繋がり、共に未来を拓きたいと願っています。
■クラウドファンディングプロジェクト概要
・タイトル「命を左右する産後24時間。カンボジアの母子の命を繋ぐ気づきと判断を」
・URL:https://readyfor.jp/projects/2026phjc
・目標金額:300万円
・募集期間:2026年2月16日(月)10時~3月31日(火)23時
・資金使途:カンボジアの遠隔地における母子継続ケア連携強化プロジェクト実施費
・形式:寄付金控除型 / All in形式
※All-in形式は、目標金額の達成の有無に関わらず、集まった支援金を受け取ることができる形式です。
■ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)について

私たち特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)は、1997年に米国に本部を置く国際NGO 「Project HOPE」の日本法人として設立され(2006年に独立)、「教育を中心とした自立支援」を使命として、東南アジアで母と子を対象に「保健・医療の教育」を中心とした支援活動に取り組む国際協力NGOです。
現在、カンボジアとミャンマーに事務所を置き、農村地を拠点に取り残されがちなお母さんや子どもの健康を改善するための仕組みづくりを支援しています。PHJの使命は、「教育を中心とした自立支援」です。保健人材への研修や、地域住民への教育を進めることで、自らの力でよりよい保健環境を構築し維持することを目指しています。
命を左右する産後24時間。カンボジアの母子支援のため、目標300万円のクラウドファンディング開始!
クラウドファンディング開始!カンボジアの母子の命を繋ぐ

2026/02/24 19時~日本とカンボジアの助産師が語る、お産の現場のリアル。

出張レポート後編:吸引分娩器寄贈のフォローアップ
ー現地と日本をつないだオンライン支援ー
海外事業担当(助産師)の宮副です。
前回のカンボジア出張レポートの後編として2025年2月に株式会社三幸製作所より寄贈いただいた分娩吸引器について、その後をご報告します。
今回、寄贈先の医療施設で直面していた運用上の課題に対し、日本と現地をオンラインで結び、現地の医療者が寄贈元の技術者から直接アドバイスを受けることで問題を解消した事例をご紹介します。

● 保健センターでの不具合の確認

アンロンサムノ保健センターでは、これまでに3回ほど吸引分娩器の使用実績がありました。2025年10月に出張したPHJスタッフが当保健センターを訪問し、「吸引圧が弱いように感じる」との報告を受けていました。
この点について三幸製作所へ状況を共有し、オンラインでの助言を依頼したところ、
「実際の状態を確認してみましょう」と、快諾いただきました。
寄贈時にもご協力いただいた三幸製作所グループの技術者の方とオンラインでつなぎ、現地での状況を一緒に確認することとなりました。
そして12月の出張時、アンロンサムノ保健センターにて機器を前に、現地スタッフ、そして所長の通訳を介して、日本の技術者の方とつなぎました。
日本語・英語・クメール語の3言語でやり取りを行いながら確認を進めましたので、事象の共有には時間を要しましたが、その分、丁寧な確認が行われました。
結果、吸引圧の弱さは誤ったサイズの吸引チューブが接続されていたことが原因であることが判明しました。念のため、正しいサイズのチューブを用いて、作動状況をすべて再確認しました。
スマートフォンで実際の動きを映しながら技術者の指示を受け、通訳を介して現地スタッフにも共有し、機器そのものに不具合がないことが確認できました。
原因は、使用時に異なるサイズのチューブが混ざってしまい、どれが正しいものか分からなくなってしまったことでした。これは想定外の事態であったため、今後同様の混乱が起きないよう、不要なサイズのチューブは回収する対応を取ることとしました。
●地方病院での確認

寄贈した分娩吸引器を医師が使用している地方病院では、大きな問題はないだろうと考えて訪問しましたが、「時々、接続部が外れてしまうことがある」との相談を受けました。
日本ではあまり経験のない事象であったため、実際にモデル人形を使用し、圧をかけたところ、接続部が外れることはなく、圧にも問題はみられませんでした。
ただ、チューブの状態を確認したところ、先端付近に小さな亀裂が見つかりました。亀裂部分は、長さに余裕があったため念のためカットしました。

この点についても技術者の方に相談しましたが、同様の見解が示されました。考えられることとして、接続部の清掃状況や使用時の持ち方や力のかけ方についてはアドバイスをいただき、病院では複数の医師で使用するため、全体に周知することも伝えました。念のため、三幸製作所よりチューブの予備を提供いただいており、次回の出張時に現地へ持参する予定です。
● 機材寄贈と「その後」の大切さ
今回の対応を通じて、医療機器の寄贈には、使用開始後のフォローアップが不可欠であることを改めて実感しました。
現地の医療者がどのような点で戸惑い、どのような判断をしてしまうのかが明らかになったのは、機器が実際の現場で必要に応じて使用されていたこと、そして疑問や違和感を「報告してもらえる関係性」があったからではないかと考えます。
私たちは、機材を提供して終わりにしないことを重視してきました。
そのような中で、三幸製作所の技術者の方には、国を越えてオンラインで丁寧にご対応いただき、現地スタッフにとっても学びの機会となりました。
一見すると小さな不具合に思えることでも、現地では、医療機器についてすぐに相談できる専門家が身近にいないことがほとんどです。
その結果、「使えないのではないか」と判断され、せっかくの機材が使われないまま保管されてしまうことも少なくありません。
そうした状況を防ぐため、今回のようなフォローアップを行うことは重要だと考えます。今後もこうした連携を大切にしながら、寄贈した機材が現場で安全に、そして確実に活用されるよう支援を続けていきます。