シェムリアップ州における3年間の歩みと変化―安心・安全なお産を支える仕組みづくり―
安心して妊娠・出産ができる環境づくりを目的としたJICAの草の根技術協力事業「シェムリアップ州ソトニクム保健行政区における安心安全なお産のための保健システム強化支援事業」は、 2023年4月に開始し、3年間の活動を経て2026年4月3日に終了しました。

事業地であるカンボジア国・シェムリアップ州は、世界的な観光地として知られる一方で、農村部では医療へのアクセスが依然として難しく、不安を抱えながら出産に臨む女性も少なくありませんでした。雨季には道路が冠水し、保健センターにたどり着くこと自体が困難になる地域もあり、地域間の格差が大きな課題でした。

こうした状況に対し、PHJは、現地の既存の仕組みを活かしながら、地域の人々自身が主体となって支え合う体制づくりを重視してきました。外部から一時的な支援を行うのではなく、活動終了後も継続していくことを見据えたアプローチです。

1)助産ケアの質向上に向けた人材育成
こうした状況に対し、PHJは、現地の既存の仕組みを活かしながら、地域の人々自身が主体となって支え合う体制づくりを重視してきました。外部から一時的な支援を行うのではなく、活動終了後も継続していくことを見据えたアプローチです。
2)保健ボランティアの自主性
医療者と地域住民の架け橋となる保健ボランティアの育成にも取り組みました。定期的な会議や研修を通じて知識や伝え方を学び、活動の継続参加者を表彰することで、誇りと責任感を高めました。その結果、金銭的なインセンティブに頼らない自発的な活動が広がっています。

3)安心安全なお産の促進
助産師による Q&A セッションや、保健ボランティアによる家庭訪問や保健教育を継続的に実施しました。その結果、妊娠中の過ごし方や栄養に関する理解が深まり、地域の人々の意識や行動に変化が見られるようになりました。また、コロナ禍で低下していた保健センターへの信頼も徐々に回復し、妊婦健診や医療施設での出産の重要性への理解が広がっています。特に、町の中心地に近い地域では道路状況も改善されてきており、保健センター以外の病院も選択する女性が増えてきていることがわかりました。
以前は妊婦の健康を害する恐れのある伝統的な習慣が根強く残っていましたが、現在では妊娠中の過ごし方や栄養の取り方についても理解がすすんでいることが現地の人々の声として届くようになってきました。

こうした取り組みにより、医療と地域をつなぐ関係が少しずつ築かれていきました。
活動の積み重ねの中で、コロナ禍後には医療施設へのアクセスが減少していた保健センターへの信頼も徐々に回復し、妊婦健診や医療施設での出産の重要性に対する理解が広がっています。このように地域の意識や行動に変化が見え始めていることは、3年間の取り組みの成果の一つです。
【事業終了後の現地の人々】
活動終了後も取り組みが継続されるよう、仕組み・人材・地域のすべての側面から持続性の確保に重点を置いてきました。定期的な振り返りや指導、助産師会議は行政の通常業務に組み込まれており、今後も継続的に実施される体制が整っています。今後は、現地の人々の手によってこれらの取り組みが継続・発展し、より多くの母子の健康が守られていくことが期待されます。
