理事の声
理事長: 甲谷 勝人 日本ヒューレット・パッカード(株)元社長
お蔭様で15周年

ピープルズ・ホープ・ジャパンは1997年、米国Project Hope傘下の日本組織「プロジェクトHOPEジャパン」として発足しました。2006年にはProject Hope との連携関係を保ちつつ独立。「ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)」として独自の活動を展開してまいりました。そして、発足以来皆様の絶大なご支援のお蔭で、私どもは今年15周年を迎えることになりました。長年にわたる皆様の温かいご支援に心より厚く御礼申し上げます。
この間、1999年にNPO法人の認定を受け、2001年にはNPO支援税制適用の第一号として「認定NPO法人」となり、財政基盤の強化につなげることが可能となりました。現在個人会員1750名、法人会員417社、年間予算規模約1億5千万円、主として、タイ、インドネシア、カンボジア、ベトナムにおいて「保健・医療環境の向上に向けて、教育を中心とした自立支援」を行っております。具体的には国連の「ミレニアム開発目標(MDG’s)」のうち「乳幼児死亡率の削減」、「妊産婦の健康改善」、「HIV/AIDS、マラリア等の蔓延防止」にフォーカスし、各地で草の根的活動を進め目覚ましい実績をあげてまいりました。
2011年3月11日に発生した「東日本大震災」は、発足以来開発途上国への支援を主体としてきたPHJの活動に大きな転機をもたらすこととなりました。 災害支援については、これまでも2000年のトルコ西部大地震、2001年のアメリカ同時多発テロ、2005年のスマトラ大地震・津波等々、多くの海外の災害に対して支援を続けてまいりましたが、日本国内に対しては、PHJにとっては今回初めて、本格的かつ大規模な災害支援活動を展開することとなりました。
今回の活動は、PHJ発足以来法人会員として強力なご支援をいただいている「全日本病院協会(全日病)」殿が、震災発生直後から被災地に向けてはじめられた医療チームの派遣を全面的にサポートするための募金活動を展開いたしましたが、会員の皆様及び新たにご賛同をいただいた方々から多くの物品も含めて、多額のご支援をいただき、全日病様の活動のお役に立てた事、心より感謝しております。なお今後は、被災地域の医療機関の復旧・再建が大きな課題となりますが、私共としても、引き続き全日病様と連携してお手伝いを続けたいと考えています。

今回の災害に際し、PHJ発足以来支援を続けてきた開発途上国の方達から心のこもったお見舞いと励ましのメッセージや、苦しい家計の中からの義援金を届けていただき、大いに感激するとともに、このような方達と深い絆で結ばれている事を改めて認識した次第です。また、今回多くの新しいドナーの企業や個人の方達が支援に加わっていただきましたが、寄付先としての選定理由として、「支援目的が明確」、「活動の報告が確実」「経費率が低い」があげられておりました。
PHJはこれからも皆様のご期待に添うべく、現地で精力的に活動する多くのボランティアを含む若いスタッフのエネルギーと、後方でバックアップするアクティブシニアの叡知を融合して、ミッションの達成に邁進いたします。
今後ともどうぞ変わらぬご支援をお願いいたします。有難うございました。
副理事長: 田中 滋 慶応義塾大学 経営大学院 教授
プロジェクトHOPEが活躍する場は第4の公

プロジェクトHOPE―来年からのピープルズ・ホープ・ジャパン―が活躍する場はどのような性質をもっているのでしょうか。「そんなことは考えなくとも事業はできる」と言われるかもしれませんが、理念・ミッションに基づく行動計画を定める際は、事業環境の把握が不可欠です。この点は非営利組織であれ営利企業であれ変わらない要件だと思います。
私は、HOPEの事業が展開されるフィールドを「第4の公(おおやけ)」と捉えたい。 聞きなれない言葉でしょうから、以下でわかりやすく説明しておくことにします。
社会はいろいろな努力によって成り立っていますね。近代社会では自分および自分の家族については「自助」がベースです。しかし自助だけで 社会・国家・世界は安定しません。必ず「公(おおやけ)」と呼ばれる場面が存在します。中世でも古代でも人々は、私と公とを上手に使い分けてきました。中世までの間、公とは主に地域のコミュニティ=「村」を指し、ムラには必ず互助の仕組みがあったはずです。
一方、近代に入ると、互助だけでは社会の安定を維持することができなくなります。なぜなら、強い国のために「強兵」「富国」が求められるからです。富国を維持するためには、治安維持も、郵便制度も、教育制度という労働者育成の仕組みも必要でしょう。ゆえに、それらについての公の担い手と して「官」が発達します。それが近代の政府です。なお生活面では公助の仕組みがつくられます。
3つ目の公は市場セクターです。そこでの登場主体の行動原理は自助に他なりません。
そして4つ目の公。そこでの活動は、村人が助け合って行くものでも、官が主導していく分野でも、あるいは投資家の利益最大化のためにおこなうものでもありません。国内では社会保障制度が典型ですが、共助の仕組みと言われます。日本でもっとも進んだ共助の理念は介護保険の「尊厳ある自立の支援」です。助けられる対象となる人の自立を目ざし、連帯に基づいて支援する。まさにHOPEが国際的に果たそうとしている役割が生きる場の総称にあたるわけです。
副理事長: 小田 晋吾 日本ヒューレット・パッカード(株)元社長
副理事長就任にあたって

このたび副理事長の重責を拝命いたしました小田でございます。
甲谷理事長よりお声をかけていただいた時は、正直のところ私自身の37年にわたる社会人としての経験では、内容的にも著名なNPO 活動をそのチームメンバーの一人としてリードできるか大変不安でもありまた、自信もありませんでした。一方で“1企業の成長”一筋で生きて来た者にとって今後の人生の中で今まで培ってきた様々な経験を生かし、社会に対しいくばくかの貢献をしたいという想いもあり、この重責をお受けした次第であります。
メンバーとなってまだ日も浅い私ではありますが、月例会議等への参加を通じPHJとその活動について私なりのイメージが出来てまいりましたので、僭越ではありますが皆様とシェアーしてみたいと思います。
PHJは発足以来13年に及ぶ活動を通じて基本方針、財務基盤、そして運用管理体制等の運営基盤がすでに確立しており、活動の主体は理事長の掲げる「日本の顔の見える支援」をさらに強力に推進してゆくことだと考えております。
そのような観点から考えられるチャレンジの一つは現場力を強化し支援先での満足度を一層向上させることであり、「支援先での体制強化」、「支援プログラムの充実」、「支援先と本部間の連帯強化による見える化」などが今後注力すべきポイントだと思います。
私の思うもう一つのチャレンジは、政治・経済・環境・科学技術等々が世界規模で変化する社会にあって、PHJの運営基本方針である「人間の尊重」、「良質な活動」、「中立性」、「基金の効率活用」をチームの皆さんとしっかり守ってゆくことで何か起こった時には、常にこのPHJの原点に立ち返えることが出来るようにしたいということです。
最後になりますが、PHJに関連するすべての方達が「活動して良かった」、「支援して良かった」と思える一体感・信頼感のようなものが活動を通じ生まれることを願っています。
以上、新参者が偉そうなことを述べてまいりましたが、私自身フレッシュな気持ちで活動に取り組んでまいりますので、皆様には宜しくご支援のほどお願い申し上げます。
理事: 川上 潤 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 代表取締役社長兼CEO
復興から新しいものを

早いもので東日本大震災の発生から1年以上の月日が経ちました。復興の上で医療インフラの再構築は極めて大きな課題です。「それまであったものの復興ではなく、新しいものを創る」... その進捗のスピードに、“言うは易し、行うは難し”の典型を見る思いはありますが、挫けていてはいけないと私自身胆に銘じています。
今回の震災にあたっては、いかに被災地の現実に実効性ある支援ができるかを真剣に考えました。単にお金を出すだけでは被災地の現実の問題をあまり解決しないこと、また、お金が一過的に消費されてしまい、長期に渡って被災地に対してリターンをもたらす「プロジェクト」にならないことに大きな非効率を感じていました。そこでGEではチームを組んで被災地へのキャラバンを行い、現地の医療ニーズの徹底的な理解に努めました。その結果、仮設診療所ができてもそこに来ることのできない多くの老人の方に対する医療ニーズが大きいということが分かりました。それらの理解に基き、我々は4輪駆動の軽自動車に赤色信号灯を付け緊急時の医師の移動を可能にすると同時に、小型の超音波診断装置等の持ち運び可能な医療機器を搭載したドクター・カーというコンセプトを作り、関係各機関や地方自治体の協力のもとで、GEの社会福祉事業団体であるGEファンデーションが被災三県の地方自治体にこのドクター・カー「めんこい」を計11台寄贈させて頂きました。「めんこい」は現在、被災地でフル回転の活躍をしていると聞いています。また、高齢社会における医療の提供のされ方のひとつのヒントになり得るものとしてその発展形にも期待がかかります。
PHJでも今回の震災にあたっては、これまでの優れた活動が多方面から評価されて様々な団体からの被災地への寄付の受け皿となり、実効性のある援助が実施できていることは大変素晴らしいことだと思います。
これらひとつひとつの地道な取り組みの積み上げが震災からの復興を促し、同時に未来に向けた「新たなもの」を創ってゆくきっかけになってゆくことを願ってやみません。
理事: 後藤 幸子 武蔵野市民
地域に根ざした支援活動を

私は武蔵野市に住み日頃は青少年行事を通じて青少年育成のボランティアや老人福祉のボランティアをしてきましたが、プロジェクトHOPEジャパンへの参加は世界へ向けた小さなボランティア活動となり大変うれしく思っています。
具体的にはタイの子供患者の里親になっています。HOPE Partner(患者里親制度)と呼ぶ活動です。
私たちの支援金の一部が患者さんに医療支援として届けられ、毎月患者の回復状況が報告されてきます。「心臓手術によって歩けるようになったとか走れるようになったとか」 うれしい便りが届きます。ほんの一寸の小さな小さな支援がこんな喜びの沙汰とし帰ってくる時、胸が熱くなります。
お互いに助け合い支え合って世界の人々が安全で平和に暮らしたいと願っています。
日本が今日のような豊かな生活を営むことができるのは、世界中の国々から資源。食料、エネルギー等の恩恵を受けているからです。この世界とのつながりの中で生きていることを認識する時、恵まれない途上国の人々に何らかの支援ができればと前から思っていました。
そんな時に武蔵野市に本拠を置くプロジェクトHOPEジャパンを知りました。私のまわりの人々も大勢プロジェクトHOPEジャパンに参加しています。
武蔵野市ではアメリカのテキサス州ラボック市、ロシアのハバロフスク市、ルーマニアのブラショフ市等と国際交流を行っておりますが、プロジェクトHOPEジャパンは昨年8月、そのブラショフ市立産婦人科病院に医療機器を寄贈し、市報にも大きく紹介されました。私も市民の一員として贈呈式に参加することができ大変感激しました。その機器が現地の患者さんに役立ち元気な赤ちゃんが生まれたとの記事を読みました。どんなにか喜ばれたことでしょう。
どうかこれからも地域に根ざした活動を目指して恵まれない人々を一人でも多く救ってほしいと念願しています。プロジェクトHOPEジャパンという柱の下で「みんなは一人のために、一人はみんなの為に」をモットーに生きたいと思います。
理事: 五月女 光弘 外務省初代NGO担当大使 元駐ザンビア・駐マラウイ大使
かつて私は嫌いな人に出逢ったことがありません

この度、PHJ理事に就任いたしました五月女でございます。日本の代表的なNGOとして輝かしい実績を有するPHJに参加させていただくことはまことに光栄です。ここにご挨拶を兼ねて私の好きな言葉を紹介させていただきたいと思います。
さて、現代人が避けて通れないストレスはなぜ起こるのでしょうか。万病の元といわれているストレスは仕事が忙しいから感じるものなのでしょうか。どうも違うようです。
アメリカにデール・カーネギーと云う教育学者がいました。彼はこう言っています。「多くの人々はストレスは仕事や勉強の疲れから起こるものだと信じているがそうではない。・・・・嫌いな人、憎しみを感じる人をつくることで、それを常に意識することになり、結局はその人に支配され相手は苦しまず自分だけが苦しむことになるのである。」
現代社会で好き嫌いが起こることは当たり前であるが、嫌いな人を作らない、どんな人であれその人の良いところを認めてあげて好きになるように努力することが結局は相手にとっても自分にとってもプラスになり、結果としてストレスのない快適な環境を作り出すことができるのです。
以前、映画評論家の淀川長治さんは89歳で亡くなられるまで、半世紀以上に亘り映画の紹介を続けられたが、どのような映画でも(たとえそれが駄作であったとしても)愛情を持って批評し、一つでも二つでも良いところを見つけてあげようと努めたそうです。 淀川さんがよく色紙に書いた言葉があります。「かつて私は嫌いな人に出逢ったことがありません。」なんと幸せな人生だったことでしょう。
世界では依然として人が憎しみ合い、国と国が争う。何時になったら終わるのでしょうか。科学技術の発展の世紀といわれ戦争の世紀ともいわれた20世紀が終わり10年経ちました。21世紀は人々や国々がお互いに助け合う「相互扶助の世紀」にならないものでしょうか。人々の多くは自分が訪問した国が好きになると云います。親しい友人が出来れば尚更のことです。「かつて私は嫌いな国に出逢ったことがありません。」といきたいものです。
理事: 庄田 隆 日本製薬団体連合会会長、第一三共株式会社代表取締役会長
ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)と製薬産業

はじめに、今回の東日本大震災で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りするとともに、被災された方々・地域の一日も早い復興を祈念申し上げます。
日本製薬団体連合会(以下、日薬連)は、研究開発型製薬企業の団体である日本製薬工業協会、OTC 医薬品の日本OTC 医薬品協会などをはじめ、33の製薬団体で構成される連合会です。 私どもは、新薬の研究開発や患者さんに必要とされる医薬品の安定的な提供などを通じて、日本をはじめ世界の人々に貢献したいと考えています。
振り返ってみますと、日薬連は、PHJの前身である「プロジェクトHOPEジャパン」が設立された1997年から、歴代の会長が理事をお引き受けしており、私で7人目となります。 当初は製薬企業20社が個別に賛助会員となる形で、翌98年以降は日薬連として、定期的なご支援をさせていただいております。
この10年の間に、カンボジア、インドネシア、タイなどそれぞれの現地で医療支援活動に携わっている方々、そしてその活動を支えている事務局の皆様におかれましては、現地の方々の感謝の言葉や笑顔を通じて、活動の手ごたえを感じられていることと存じます。 現地での活動報告資料を拝見させていただく度に、皆様の活動に敬服しております。 さらに、PHJ の活動方針が単なるお金や物資の提供ではなく「自立支援」を目指した現地に密着した活動であることや、いくつかの製薬企業が個別に、冠事業として各国にて現地事務所と共同で医療支援を行っていることも、NPOのあるべき姿として高く評価されるものです。
さて、日本においては、民主党政権のもとで「新しい公共」が政策課題として取り上げられ、寄附税制・NPO 税制の改正などにより、市民・企業が支える公共の構築に向けた議論が進められています。 我が国においてこのような考え方が広く普及すれば、国内における各種支援活動だけでなく、公衆衛生・医療水準がまだ十分には高くない国々に対する支援活動への理解も深まるものと考えられます。
今後、PHJの理解者・支援者の輪がさらに広がることを期待し、また、PHJで活動している皆様方お一人お一人の更なるご活躍を祈念して、ご挨拶といたします。
理事: 清家 篤 慶応義塾 塾長
持続可能性への挑戦

より良い社会を作るための課題は多岐にわたります。今日、それを一つの共通したことばで括るとするならば、それは様々な持続可能性にかかわる課題であるといえます。
たとえばわれわれの住む地球の持続可能性があります。具体的には、温暖化問題等の環境問題や水などを含む天然資源の枯渇にかかわる問題等で す。また人間の生物の種としての持続可能性も重要課題です。これは少子化や人類を脅かす疫病とどう立ち向かうかなどの問題です。そして人間の 作った国際社会の持続性、すなわち安全保障や国際金融秩序の問題等もあります。さらに一国の持続可能性にかかわる問題もあります。社会保障制 度あるいはその前提としての経済成長の持続可能性の問題等がそれです。これら様々な局面での持続可能性の低下は、将来社会の存立そのものを危 うくします。
地球社会の将来に最も決定的な要因となるのは、地球に住む私たち一人ひとりが、どのような選択をし、また行動をとるかです。課題を見つけ、解決に至る方法を考え、いかに行動し、実際の解決に結びつけていくかがこれからの地球社会の持続可能性に対する重要な論点になっていくものと思 われます。こうした意味で、途上国の人々の自立を医療と健康で支えるという理念を掲げ「健康・医療の教育」を軸に日々行動しているピープルズ・ホープ・ジャパンは、地球の未来を見据え、今できることについて地道な努力を積み重ねている団体として、地球社会にとって非常に重要な役割を担っています。絶大なご支援によってピープルズ・ホープ・ジャパンの日々の活動を支えておられる多くの法人、個人会員、公的機関の皆様、そして甲谷勝人理事長をはじめとしたピープルズ・ホープ・ジャパンの皆様に深甚なる敬意を表したいと存じます。
ピープルズ・ホープ・ジャパンが、これからも多くの人達を健康に導き、希望ある社会を創り、地球社会全体に対する持続可能性に挑戦し続けて いかれることを願っております。ピープルズ・ホープ・ジャパンの一層のご発展をお祈り申し上げます。
理事: 中島 康雄 聖マリアンナ医科大学放射線医学講座 教授
国際画像診断援助にITの力を

先日シカゴで Asia Pacific American Forumという会議にパネラーとして出席した。日本、韓国、中国、インドの代表者と医療アクセスについてのパネルで各国事情が紹介された。Aging countryである日本、韓国と広大な国土を有し都市部と辺境との格差が著しい中国、インドとは全く話がかみ合わないことも多かったが改めてお国事情に違いを痛感した。中央にお金と権力が集中しそれが分配されていない2つのアジアの大国がまだまだ医療(画像診断機器)援助を他国に求めている姿を見て、国際社会で彼らが演じている政治的パフォーマンスとのギャップを感じ、むなしい気持ちを禁じえなかった。
今更言うまでもないが画像診断の進歩は著しく従来考えもしなかった画像診断が可能となり現代医療には不可欠なツールとなった。従って先端的な機器の整備に各国とも力を注ぎ、医療援助イコール医療機器援助という構図が生まれている。元来CTや MRIなどの画像診断はただむやみに撮影してもその有効性を発揮することは出来ない。しかし、一般には撮影さえすれば正しい情報が得られると勘違いしている方は多い。適切な撮像方法で画像を取得し適切に再構成し優れた診断医が読影することによってはじめて情報として価値が出て医療現場で成果を生む。画像診断機器のみの援助は従来から批判の多かった箱物援助と同一でそこに介在する人への援助が何より大切である。
ピープルズ・ホープ・ジャパンの活動はこの点を充分に理解したうえで海外研修生を日本に受け入れ、日本から講師を派遣し人への援助に力を注がれてきた。しかし、現実には援助した画像診断機器による診断精度の把握や画像診断技術の指導、機器のメインテナンス、利用方法の継続的なチェック、後継者の育成には難しい点が多い。幸い画像診断はITを利用することにより遠隔診断も可能であり種々の診断支援や教育など多くの人的援助を遠隔で行える道が開けてきた。すでに米国では夜の当直帯の画像診断はインドに送ってそちらで診断医が読影して救急に対応していると聞く。最初に書いたインドや中国でも格差解消への方策としてIT戦略が大きく取り上げられている。今後の国際画像診断援助は遠隔診断を有効に利用しながらお互いの継続的コミュニケーションの場としてもITネットワークを構築していくこと重要であると考える。
理事: 西澤 寛俊 全日本病院協会会長 西岡病院理事長
東日本大震災

今回の東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福と被災された方々の一日も早い健康回復を心より祈願いたします。
全日本病院協会(全日病)は震災発生後直ちに災害対策本部を立ち上げ、被災地に医療救護班を派遣しました。日本医療法人協会と共同で派遣された医療救護班(医師、看護師、事務方等で編成し、1チーム4〜5名)は合計115班、485人(6月10日現在)に至っています。 同時に2300の会員病院に義援金募集を呼びかけており、この活動はピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)も連携して行いました。
私が理事をしておりますPHJは医療支援分野の認定NPO法人で、集めた義援金は全日病を通じて医療救護班の派遣費用や被災地復興のための医療支援に使われております。またPHJからは被災地病院等にパソコン300台、プリンタ100台の寄贈提供を受けて被災地復興に大きく寄与しました。 しかし、3月11日の東日本大震災から3ヶ月半を過ぎようとしておりますが被災地の復旧・復興は長い道のりになります。
全日病は私を含めて3代の会長がPHJ理事として活動を応援しております。全国の全日病会員の中にもPHJの医療支援活動に賛同して応援している病院もあります。
PHJの支援活動は主にカンボジア、インドネシア、タイ等の東南アジアですが、今回の大震災では国内支援にも活動範囲を広げました。これを契機に全日病とPHJとの連携が深まり、共に発展することを期待しております。
理事: 松本 謙一 海外医療機器技術協力会、サクラグローバルホールディング(株)
3つの「意義」

■ODAの意義
一連のアジア経済危機に端を発した世界不況下だからこそ、あらためて「富の偏在、人々の健康福祉の見直し」が問われて然るべき時代だと思います。
換言すれば、7年連続して世界一の実績を誇る日本の海外支援援助が更に評価されて然るべきとも思います。勿論、昨年報じられたブータンの電話建設事業をめぐっての不祥事など姿勢をただすとして、殆どの事業、そして活動は各国で高く評価されているものと信じます。だからこそ私の持論として、ODAの精神は援助側の視点からの「O(おい)D(どうだ)A(有難く思え)」ではなく、被援助国側視点からの「O(おや)D(どうも)A(有難う)」ではならないと思います。
■医療機器の意義
医療機器は医薬品と並んで、どこの国でもその国の人々の健康・福祉に大きく貢献するものだと思います。ただ、医薬品と大きく異なる点は、医薬品が「つけたり・のんだり」すればなくなってしまうのに対し、大半の医療機器は使用開始後、適切なるアフターサービス、メンテナンスを必ず要することだと思います。
この事は、ペースメーカーからCT、MRなど全てに共通することでしょう。それには地道なマニュアル整備から使用者の研修を含むあらゆる日常の修理業務に至る迄、あらためて合理的なシステム作りが、ODAの場合にはその使用現場が遠くはなれた海外であるだけに余計早急に望まれるところでしょう。
■プロジェクトHOPEジャパンの意義
以上、2つの意義を達成せんが為にもプロジェクトHOPEの意義は大きいと思います。今後ますますの御発展を心から祈念します。
理事: 溝口 文雄 横河電機(株) 社友

昨年末の「スマトラ沖地震・大津波」は史上例を見ない大被害を各地にもたらし、テレビや新聞を通じて報道される現地の状況は、まさに目を覆う惨状でした。
この被災地に世界各国から派遣されたり、ボランティアとして駆けつけた多くの人々が支援活動に懸命に働いている姿は、見る人に深い感銘を与えました。この中にはプロジェクトHOPEジャパンのインドネシア事務所長の伊藤さんもただ一人のNGOメンバーとして政府調査団に加わり、アチェ州の現地調査に参加して、悲惨な現地報告を「HOPEジャパンニュース(号外)」で生々しく伝えてくれました。これを読んでそのご苦労に頭が下がると同時に、われわれの仲間の活動を誇らしく思いました。
またタイの「小児先天性心臓病」手術のために、厳しい環境の中で献身的な活動をされ素晴らしい成果を上げておられる大谷さん、カンボジアで「母子保健調査」に活躍されておられる大村さんら現地スタッフのご努力に対しても、同じように深い感銘を覚えます。私はこのたび、初代理事長を務められた前理事の杉山卓さんのあとを受けて、理事に就任しましたが、このような素晴らしい支援活動を進めておられる皆さんの仲間に加えていただいたことを大変嬉しく思っています。昨秋、甲谷理事長がプロジェクトHOPEジャパン誕生のいきさつをHOPEジャパンニュースに述べておられましたが、私は8年前、横河電機の当時の美川社長から指示を受けて、組織設立に裏方として携わりました。その後も総務・人事関係の仕事を担当していた関係で、さまざまな行事や活動に陰に陽に関わってきました。
現在プロジェクトHOPEジャパンは、法人360社と個人1,800名の会員に支えられ、「認定NPO法人」第一号としてアジアを中心に精力的に活動を展開する立派な団体に成長したことに感無量の想いを抱いております。私はこの素晴らしい活動が更に多くの人々のご理解とご協力を得て、大きく広がっていくことを強く願っています。微力ではありますが、今後とも精一杯の努力をしてゆきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
理事: 木村 敏雄 ピープルズ・ホープ・ジャパン 代表

ピープルズ・ホープ・ジャパンは、「プロジェクトHOPEジャパン」発足から12年、「Project HOPE」から独立して3年が経過しました。この間、約1900人の個人会員、390社余りの法人会員に支えられ、年間予算1.5億円、主にアジア途上国の保健・医療環境の向上にむけて、教育を中心として自立化支援を行っています。
認定NPO法人・第1号として、またご支援いただいている多くの法人・個人会員の皆様の社会貢献へのご意思を、ピープルズ・ホープ・ジャパンが代行していくという社会的責任の重さも痛感しています。
今後は今までの経験を発展させて、途上国において1人でも多くの人たちが健康で、希望をもって暮らせるよう、現地・現場ニーズの収集・把握に努め、また専門性も高め、日本のNPOらしいきめ細かな支援活動を展開していきたいと思います。また低い経費率を維持しながらも組織強化を図り、より有効で皆様から信頼される支援活動をしていきたいと思います。どうぞ、これまで以上のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
監事: 植野 道雄 みずほコーポレート銀行元専務取締役
日本で根付き始めた寄付文化

2008年秋のリーマンショック以降の財政危機や景気低迷で、NPOの募金活動は厳しくなってきました。ある自治体ではオーケストラへの助成金が削られることになり、反対の署名を1万人集めたなどのニュースが目立つ今日このごろです。そうしたなかで外務省や多くの企業、団体、個人がピープルズ・ホープ・ジャパンが行っている東南アジアの支援に対し、資金や物品の支援を行っていることは注目すべきことだと思います。
私はピープルズ・ホープ・ジャパンの2010年社員総会、理事会で監事に選任されました。このNPOはタイ、カンボジア、インドネシアと活動地域を絞り、母子保健、感染症予防、医療機器の維持と操作において教育活動を展開していますが、どの活動も現地のニーズを的確に把握したうえで実施されていることが非常に印象的です。綿密な調査の上で、現地に合った活動を、現地の人々や関係機関と密接に連携しながら実施し成果を上げる―――だからこそ、政府・公共機関、企業、個人が支援先をピープルズ・ホープ・ジャパンの事業に選定しているのだと納得しました。
一方で世界のため、社会のため、困っている人のために何かしてあげたいと思っている人が増えてきています。かつて私が海外勤務をしていた際、アメリカンスクールで毎年寄付を募っていたのですが、日本人の関心の薄さが大変気になりました。しかし当時と比べると、今では日本でもチャリティイベントが開かれ、一般の方々がネット上で手軽に募金ができるようになるなど、わが国にも寄付の文化が醸成されつつあるように思います。財政が厳しくなった政府や企業の支援を頼みに署名を集めるだけではなく、自分たち一人ひとりが小さな寄付を積み重ねてこそ具体的な力となることに、多くの人が気づき始めたのではないでしょうか。
私も早速、ピープルズ・ホープ・ジャパンのチャリティカレンダーに募金しました。このカレンダーはなかなか個性的で各国のおとぎ話をテーマにした絵が描かれています。募金するだけでなく、東南アジアの文化を知る、というコンセプトだとのこと。先ずは他の国に対して関心を持ち、知ろう、理解しよう、とすることが重要なのでしょう。そのようにして、支援する側と受ける側の気持ちを一つにすることが、活動をより良いものにするのだと思います。ピープルズ・ホープ・ジャパンの益々のご発展を期待します。












